大学院生として、最も大切な仕事のひとつが『実験ノート』の作成になります。
とはいっても、実験ノートの書き方は誰かが教えてくれるわけでもないので、自分で試していく必要があります。
そんなある時、あまりにも実験ノートの書き方が無茶苦茶で上の先生から一日実験を止められたことがあります(笑)。
そんなことから、私は実験ノートの意義・書き方を見直したことがあります。そんな私が実際に行っている実験ノートの書き方をご紹介したいと思います。もし、「不足している部分」 or 「全く違うぞ!」ということがありましたら、コメント欄でぜひ教えて下さいm(_ _)m
なぜ、実験ノートを書くのか?
そもそも、実験手順やデータ etcを細かく記載する必要はどこにあるでしょうか?
私は、次のような意義があると考えています。
実験ノートを書く意義
- 自分を守るため
- 研究内容を整理でき、次の計画を立てやすくするため
理由その1:自分を守るため
論文が審議された時に、実験ノートは自分の研究を証明してくれる唯一の証拠となります。実験ノートが正確に書けていなければ、研究をしていないと言われても仕方がないのです。したがって、実験ノートは何をしたかがきちんと説明され、他人が見ても実験内容が理解できるノートである必要があります。
理由その2:研究内容を整理でき、次の計画を立てやすくするため
実験ノートを書くことで、実験内容を理解・整理できます。これは質疑応答の際の理論武装にも繋がりますし、新たなアイデアが思いついたりします。ちなみに、私の理想は、過去の結果がすぐに分かるノートです。しかし、実験によっては、数日 or 数週間に渡ってしまいページが続かないこともあります。そんな時のため、私はサンプル名や実験自体にロット番号を振っておくようにしています。
こうして整理していくと、研究の問題点が見え、次の実験計画を立てるときの参考になります。
実験ノートの書き方
実験ノートを書く上で絶対に外せない必須事項
では、具体的にはどんなことを書けばよいのでしょうか?実験ノートは「こう書かないと」といった統一されたルールはありません。しかし、実験ノートを書く上で絶対に外せない必須事項があります。
必須事項!!
全ての記入は書き直しができないように、ボールペンで行いましょう。
- 実験日
- 目的、結果、評価、計画を記入する
→『論文を書く』と思って、記載してみましょう。 - 試薬名・ロット番号
- 何をしたか?(文章で記載)
→ついつい箇条書きで書いてしまいがちですが、できる限り文章で書きましょう。読み返した時に箇条書きだと他人が見た時に理解してもらえないことがあります。
私が実験ノートを書く時に意識していること
賛否両論あるかと思いますが、私が実験ノートを書く時に意識していることがあります。
- パソコンでまとめきらない
→パソコンはデータを改ざんできるので、あまり使いません(極力生データをまとめるだけにしています)。なので、パソコンで入力した内容をそのまま1ページにまるごと貼り付けることはしないようにしています。手書きの方が好きな箇所に自由に記載ができるので便利だったりします。 - 実験前に実験ノートを手技部分をできるだけ完成させる
→実験前に内容を記入しておくことで、実験内容をイメージできたり、分からないことが浮かんで調べたりできるので、実験中は(少しですが...)余裕を持って実験ができます。また、実験中に変更があった場合は、できる限りその都度ノートに記載しています。 - テンプレートは作らない
→実験ごとにやる内容も変わるので、テンプレートを作ってしまうとそこに合わないことが多く作るだけ時間の無駄になってしまいます。ただし、条件検討を行う実験の場合は、例外です。
実験ノートの作成にはかなりの時間がかかります。「この時間があれば、もっと実験ができるのに...」と思いますが、研究費を使って実験しているわけですからきちんとした記録が残っていなければただの無駄使いになってしまいます(先生の受け売りです)。
最後に一言
研究分野・内容によって、実験ノートは大きく変わり、正解はありません。最近では、実験ノートも電子化され紙媒体でなくなってきています。ぜひ、自分にとってのベストな実験ノートを作っていきましょう。
実験ノートはどこで売っているの?
もちろん、普通の大学ノートでも大丈夫ですが(研究室の方針しだい)、実験ノートとして売っているものがあります。
大学の生協に売っていることが多いですが、ニッチな商品なので、売っていない場合もあり、さらに大きな書店でもなかなか売っていません。
私の場合、実験ノートはAmazonで購入しています。Amazonだと生協で買うよりも安く買えるのでオススメです。